東急田園都市線は、渋谷と中央林間を結ぶ路線だ。
渋谷から3駅で、三軒茶屋に着く。
お洒落な商店街があり、芸能人が多く住むことでも有名だ。
そんな三軒茶屋には、大手私鉄の1つとは思えないような路線が走っている。
東急世田谷線だ。
東急世田谷線は、東急線唯一の路面電車だ。
路面電車・玉川線として、大正時代に開通した。
1969年に渋谷〜二子玉川園が廃止となったが、三軒茶屋〜下高井戸は残り、今に至る。
全10駅で、所要時間は17分。
運賃は、一律150円となっている。
車両は300系という、やや角張った2両編成のもので統一されている。
色には豊富なバリエーションがある。
片道乗っただけでも、赤やオレンジ、緑や青の車両を見かけた。
今回私が乗ったのは、白いボディに猫の顔が描かれた車両だ。
沿線にある豪徳寺が、招き猫発祥のお寺であることにちなんでいる。
三軒茶屋は、高層ビルや高速道路が目立つ。
そんな街の中にも関わらず、世田谷線の駅舎はクラシカルだ。
壁は赤茶色の煉瓦貼りでできている。
アーチ型の不透明な窓が、昔の雰囲気を醸し出す。
改札内は、レトロなデザインが施されている。
屋根はアーチ状で、中央から日の光が差し込むようになっている。
壁は全て赤茶色の煉瓦だ。
真ん丸の照明器具が黄色寄りの光を放ち、暖かさを感じる。
明治時代を彷彿させる。
列車はゆっくりと、住宅に挟まれた線路を走る。
場所によっては、雑草が生い茂っている。
西太子堂を出て、次の若林に着く直前、急に列車が停車した。
目の前には、巨大な踏切がある。
規模に反して、遮断棒は存在しない。
この若林踏切は、幹線である環七を横切る踏切だ。
列車は、自動車と同様の信号に従うため、駅の手前で停車する。
交通量の多い環七ゆえ、遮断棒は設けられていない。
その後も、左右に住宅が建ち並ぶ中を進んでいく。
上町を出ると、先が見えないほどの急カーブに遭遇する。
さらに宮の坂を過ぎると、登り坂が待っている。
豪徳寺の最寄り駅・山下の上を、高架が横切る。
小田急小田原線の、豪徳寺駅の高架だ。
小さな世田谷線の駅に比べ、遠くからでも分かるほど大きい。
列車は高架を潜って、ゆっくりと進んでいく。
列車は、宅地の間を走る。
青色の列車とすれ違い、急カーブを曲がる。
終点・下高井戸が見えてきた。
ホームは、京王線の下高井戸駅と並んでいる。
世田谷線と乗り換えられるにも関わらず、速い種別の電車は通過していく。
駅を出ると、庶民的な商店街が広がっている。
ゆったりした路面電車に似合う駅だ。
東急世田谷線は、気さくな町並みとカラフルな車両の、路面電車だ。
2023年4月乗車