京急の金沢八景は、快特が停まる大きな駅だ。
改札を出るとすぐ、金沢シーサイドラインのホームが見える。
金沢シーサイドラインは、新杉田〜金沢八景を結ぶ路線だ。正式名称は、「横浜シーサイドライン金沢シーサイドライン」だ。
横浜の埋立地エリアの交通需要に応えるべく、1989年に開業した。無人運転とゴムタイヤを特徴としている。
全14駅で、所要時間は25分。
今回は、金沢八景から乗った。
車両は、2000形という1種類の車両が使われている。5両編成だ。
カラフルな三角形を組み合わせた塗装が、施されている。色の組み合わせは、1両ごとに異なる。
無人運転なので、前面展望を存分に楽しめる。
金沢八景を発車すると、一気に加速する。
左側には、海に浮かぶ枇杷島神社や、平潟湾に停泊した舟が見える。
カーブすると、海の上を走っているかのような景色が広がる。次の駅は野島公園だ。
わずか1駅で、横浜郊外の町から景色が一転した。
列車は、海の公園南口、海の公園柴口と、停車していく。木々が生い茂った、大規模な公園だ。
公園の最寄り駅を過ぎると、大きくカーブして、南側に向かう。
スケルトンの、ピラミッド型の建物が見えてきた。
さらに進むと、くねくねと曲線を描くジェットコースターも森の上に現れる。八景島シーパラダイスだ。
乗客の9割は、ここで下車した。
列車は、東京湾に向かって下っていく。ヨットが浮かび、千葉の工場街がシルエットを描く。
カーブを描いて内陸に方向を変えると、右手に大きな建物が見えてきた。横浜市立大の、キャンパスと付属病院だ。
市大医学部に停車する。
気づくと、工場だらけの地域に入っていた。
ほとんどの建物が低層なので、空が高く感じられる。
特に右手は、見渡す限りの工場街だ。黒ずんだ古めかしい建物もあれば、新しそうな建物もある。奥では東京湾が、青い水平線を描く。
福浦に到着する。
列車は、大きなタワーの横にある駅・産業振興センターに停車する。横浜テクノタワーホテルだ。高い建物が少ないこのエリアでは、珍しい。
工場街はまだまだ続く。
サクラ印ハチミツ、梅蘭、文明堂など、食品系の工場が集まったエリアもある。
右手に、コストコが見えてきた。工場街に混ざって建つ、大きな商業施設だ。
幸浦に停車する。
工場街を整然と大きな道路が突っ切る様は、秩序立っていて心地いい。
列車は、下り坂に入る。右手に見えていた首都高と、同じ高さになった。
防音壁が、青色のグラデーションを描く。並木中央に停まる。
やがて、首都高は高架になり、シーサイドラインは低地を走るようになった。首都高がカーブする所は、列車も同じようにカーブする。
並木北に到着する。
列車は、三井アウトレットパークの最寄り駅・鳥浜に停車する。駅の近くには、ファミレスと家電量販店が建つ。
南部市場に停まると、次は終点・新杉田だ。
郊外らしいマンション群や駅ビルが見えてくる。
曲がって延びていく高速を横目に、列車が停車する。
ホームでは、「Seaside Line」の文字が、乗る人を迎える。
金沢シーサイドラインは、工場街と海の絶景を、珍しいシステムの車両から楽しめる路線だ。
2023年5月乗車