浜松町には、東京モノレールがある。
臨海部を通り、羽田空港まで伸びている。
開業は1964年であり、日本最古のモノレールだ。
全線の所要時間は、普通で約30分、空港快速で約20分。
モノレール浜松町から羽田空港第2ターミナルまでの運賃は、切符で500円。
東京モノレールは、レールにまたがって走る跨座式だ。
車両は、前から見ると屋根やレールとの接合部が丸っこい。
色は、オレンジと青のコントラスト強めのものと、青のグラデーションと緑を使った涼しげなものの2パターンがある。
モノレール浜松町駅は、JRや地下鉄とは独立した建物になっている。
ホームでは、空港快速に乗る人と普通に乗る人で、別々の列が作られていた。
急いでいないので、普通に乗る。
扉が閉まると、一気に加速する。
右手に、JRの線路が見えてきた。
低地にあるように見え、電車が小さく感じる。
左手に、浜離宮庭園があるのが分かる。
緑に覆われた大きな池が見える。
この他、レインボーブリッジも見える。
高い所から観光ができる。
カーブして線路から離れ、東京湾へ向かう。
カーブでも、スピードはほとんど落ちない。
新幹線が走る高架が見えたり、運河を渡ったりしながら、天王洲アイルに着く。
しばらく、京浜運河と並走する。
やがて、大井競馬場前が見えてくる。
競馬場は、駅の右手に位置する。
馬の走るレーンや、客席の湾曲具合がよく分かる。
その次の駅は、流通センター。
駅が左右とも倉庫に囲まれ、レールの先にも倉庫が見える。
名前通りの特徴がある。
昭和島は、ホームが2面ある駅だ。
空港快速の通過待ちを行うことが、アナウンスされた。
すると、前方で奇妙な現象が起こる。
レールが分離しうねうねと動き、別のレールとくっついた。
まっすぐにつながったレールを、空港快速が走り去る。
すぐに、またレールが分離してうねうねと動き、待機する車両の乗ったレールとくっつく。
これは、モノレール版「ポイント切り替え」だったのだ。
何というインパクトのある動きだろう。
整備場に差し掛かると、左手に飛行場が見えてくる。
空港の敷地に入ったことが分かる。
右手には海老取川という広い川があり、対岸には倉庫が点在する。
モノレールは一気に下り坂を駆け降りて、地下を走る。
天空橋はすぐだ。
京急と同じように、地下駅となっている。
新整備場も地下駅だ。
駅の合間、地上に出る。正面で飛行機が滑走路を走り、日に照らされて輝く。
思わず息を呑む光景だ。
天空橋と新整備場の間に、第3ターミナルがある。
地下駅に挟まれているのに、ここは高架駅だ。
浜松町方面のホームの柱には、「フォトスポット」の文字がある。
ホームの端で、タイミングを合わせれば、モノレールと飛行機を同じ画角に収められるのだ。
高架があり、奥に「風の塔」(アクアラインの通気孔)が見える。
飛行機はなかなか来ないが、こんな写真が撮れた。
第3ターミナルは国際線、それ以外は国際線の発着ターミナルだ。
モノレール浜松町からは、第3、第1、第2の順番となっている。
第1と第2は、駅名標で見分けることができる。
第1ターミナルの駅名標は赤のグラデーションで、第2ターミナルの駅名標は青のグラデーションだ。
また、どちらも親子3人の絵が描かれているが、第2のは3人が手を繋いでいて、第1のは手を繋いでいない。
全てのターミナルに、展望デッキがある。
特に離陸する飛行機は、迫力がある。
離陸時は、遠くでも分かる大きなエンジン音を轟かせる。
地面と平行だった機体を急に斜め上に向け、あっという間に高い所へ飛んでいく。
飛行機が飛ぶのは当たり前なのに、離陸の度に「すごいなあ」と思う。
第1ターミナルの展望デッキからは、地下へ潜る、或いは地下から出てきたモノレールを見ることができる。
小さい車両が、背の高いビルの中を走る姿を楽しめる。
東京モノレールの駅名標は、2020年に新たなデザインとなった。
以前は紺色の文字のみだったが、現在は多彩な色と絵になっている。
色は単色ではなく、グラデーションがかかっている。絵は、その駅に関するものと人のシルエットの、一筆描きだ。
全体でひとつのストーリーになっているらしい。
モノレール浜松町の絵は、東京タワーとモノレールに乗ろうとする親子だ。
天空橋の絵は、穴守稲荷神社の鳥居と、楽しげに歩く親子だ。
空港第1ターミナルの絵は、スーツケースを持った大人と、気付いて手を振る親子だ。
絵はどれもとても愛らしく、手書きのような暖かみを感じる。
全駅に渡り、見応え充分だ。
東京モノレールは、臨海部のビルの大きさ、飛行機のきらめき、駅名標の可愛さを、高速で楽しめる路線だ。
2022年5月乗車