JR中央線の立川駅周辺は、大きな街が広がっている。
そんな立川駅を南北に貫く路線が、多摩都市モノレールだ。
北は東大和市の上北台、南は多摩市の多摩センターまで伸びている。
全線が開業したのは2000年と、モノレールでは比較的新しい。
全線の所要時間は、約40分。
上北台から多摩センターまでの運賃は、切符で410円。
多摩都市モノレールは、跨座式。
車両がレールにまたがって走るタイプだ。
シルバーの車体に、濃いオレンジの四角形が並ぶデザインだ。
多摩動物公園とコラボした、動物のイラストが描かれた車両もある。
4両編成であり、モノレール車両にしては長い。
今回は、立川北から上北台行きに乗り、上北台から多摩センター行きに乗る、という行程を組んだ。
列車は扉が閉まると、ゆっくりと発進する。
高い位置を走っているため、眺めがよく、遠くまで見渡せる所も多い。
大きなカーブが随所にあり、景色が一気に変わる楽しさもある。
北側の終点・上北台に到着した。
車止めの先には、山がある。
地図を見ると、山の向こうには多摩湖が広がっている。
改札を出る。
一戸建てが連なる住宅街や学校があり、静かだ。
そうかと思えば、駅の南側では工場が水蒸気を吐き出している。
一言で表すのが難しい雰囲気だ。
上北台からは、多摩センター行きに乗る。
気が付くと、休日の午後なのに混雑していた。
家族連れが多い。
巨大なIKEAを通り過ぎると、高いビルが増え、にぎやかになってきた。
JR立川駅の周辺だ。
立川北で扉が開くと、ほとんどの乗客が降りてしまった。
一気にガラガラになった列車は、ビルとビルの間を縫うようにして進む。
少し進んで、立川南で停車した。
扉が開いた途端、多くの人々が乗り込んできた。
沿線でも最も乗降の激しい2駅であることと、私のように乗り通す人が少ない2駅であることが分かる。
ビルの多い地区を過ぎて、再び住宅街に入る。
気づけば、空が高くなっていた。
突き当たりに見える煙突からは、水蒸気がもくもくと立ち上る。
鉄塔は遠くまで、等間隔でつながっている。
生活感がある地域なのに、無機質だ。
列車は、何度も大きくカーブしながら進む。
曲がりながら、徐々に高さが増していく。
住宅街が続くが、高幡不動辺りでは斜面に家が並ぶ光景も見える。
多摩動物公園は、レールが高いせいで、入口ゲートがミニチュアのようだ。
沿線唯一のトンネルを抜けると、景色が一転する。
掘割を進みながら、左右に大きな建物をいくつも見ることができる。
向かって左側が明星大学、右側が中央大学だ。
特に中央大学は、そのキャンパスの広さが車窓からも感じられる。
大学最寄り駅を過ぎると、傾斜のある住宅街に入る。
しばらく乗っていると、高いビルがいくつか目立つ街が見えてくる。
南側の終点・多摩センターだ。
ベネッセなど、大きな企業のビルが建つ。
一方で、サンリオピューロランドの最寄り駅でもある。
ビジネスの雰囲気と遊びの雰囲気が混ざり、整然とした建物の並びが近未来的だ。
ちなみに、上北台では駅名標が緑色だったのに、多摩センターではオレンジ色になっている。
同じ路線なのに、なぜか。
看板を見ると、その答えが分かる。
駅名標は全体でグラデーションとなっているのだ。
北へ行くほど緑寄りになり、南へ行くほどオレンジ寄りになる。
遊び心を感じる仕掛けだ。
多摩都市モノレールは、曲がりくねったレールをゆったりと楽しめて、のどかな住宅街から都会的なビル街まで網羅した路線だ。
2022年4月乗車