JRの東海道線、横須賀線、そして根岸線が乗り入れる駅・大船。
JR以外では、湘南モノレールに乗り換えができる。
このモノレールは、ジェットコースターのようだと話題になっている。
湘南モノレールは、1970年に開業した。
JRの乗り換え駅である大船と、江ノ電の乗り換え駅である湘南江の島を結ぶ。
一本のレールに車両がぶら下がる、懸垂式を採用している。
懸垂式は、車輪が雨や雪にさらされにくく、カーブでも速度を出せる利点がある。
全8駅で、所要時間は14分。
車両のデザインは、1種類(5000形)だ。
通常の電車なら下部に付くモーターや連結器などが、全て上部に付いている。
3両編成で、前面から側面までを、帯が貫く。
帯の色は、赤色や青色など、5色ほどのパターンがある。
今回は、帯が青色の車両に乗った。
大船を出発すると、一気にスピードが上がる。
ビルからすれすれの所を、大きく左に曲がる。
カーブが終わるや否や、次は右に曲がる。
直線になったのもつかの間、レールはさらに左へと曲線を描く。
とどめの右カーブと下り勾配を経て、次の駅・富士見町に滑り込む。
レールが上にあることで、下の道路までよく見渡せる。高い位置を走っていると、実感できる。
わずか一駅だけで、ハラハラだ。
その後も、カーブとアップダウンを、高速で駆け抜ける。
三菱電機の事業所が集まる湘南町屋、スポーツ施設の最寄り駅・湘南深沢に停車する。
湘南深沢を発車すると、90度近く左に曲がったレールが見えてきた。
曲がって方向が変わったら、次は急な上り坂だ。
横目に見ていた住宅街が、みるみる離れていく。
一気に駆け登ると、わずかな下り勾配と右へのカーブを過ぎ去る。
そして高速のまま、トンネルに突入する。
トンネルを脱出して、西鎌倉だ。
3分の駅間で、息も吐かせぬ光景が繰り広げられる。
車両は住宅街、それも大きな一軒家が中心のエリアを、スピードを緩めずに走っていく。
片瀬山は、駅名標が合格祈願仕様だ。
「片瀬」が「勝たせ」に掛かっている。
桜の花模様とオレンジのリボンが、前向きな気分にしてくれそうだ。
片瀬山を過ぎると、左手に海が見えてくる。
宅地の向こうに、青い水平線と三浦半島が伸びる。
目白山下で停車すると、水平線はより大きく見える。山と山の間にある海は、リゾート地らしく穏やかだ。
スピードにドキドキしていたが、ここには癒しの要素がある。
目白山下を後にすると、2つ目のトンネルを勢いよく抜けて、終点・湘南江の島に到着する。
湘南江の島の改札は、駅舎の5階にある。
改札のすぐ脇に、展望デッキが用意されている。
海は、住宅の隙間からチラチラと見える。
天気がよければ富士山も見える。
この駅で注目すべきは、駅名標や案内看板だ。
駅名標は4基あり、どれも違うイラストが施されている。
例えば、江ノ島と富士山を青色のワントーンで表現したもの。
江ノ島のシーキャンドルを、緑色と黄色で表現したもの。
どちらも少ない色遣いで、心地よい雰囲気を演出する。
駅のフロア案内看板も、同じ色調とタッチのイラストが使われている。
スリリングなモノレールに乗ってきた人々を優しく迎える、そんな意図があるのかもしれない。
湘南モノレールは、短時間ながらハラハラドキドキの乗り心地を味わえるモノレールだ。
2023年1月乗車