東京から近い温泉地・熱海からは、ふたつの路線が伸びている。
静岡県の西側へ向かう東海道線と、伊豆半島へ南下する伊東線だ。
今回は、伊東線に乗ってみる。
伊東線は、熱海と伊東を結ぶ路線だ。
全線単線で、所要時間は23分。
熱海と伊東を除き、無人駅となっている。
多くの列車が、伊東から先の伊豆急行線に乗り入れている。
車両はバラエティに富んでいる。
私が行きで乗ったのは、アロハトレインという、ハワイをイメージした柄の車両だ。
この車両は、かつては京浜東北線で活躍し、次に総武本線で走ったという、異色の経歴を持つ。
柄をよく見ると、ハイビスカスやカメに混ざって、ご当地グルメの金目鯛もいるのが面白い。
帰りに乗ったのは、黒船電車だ。
特急のような姿でありながら、普通列車として走っている。
黒塗りに赤いラインは、インパクトが大きい。
車内では大きな窓から海を眺められる他、下田をモチーフにした写真が飾られている。
特急券なしで、観光気分を存分に楽しめる。
熱海から来宮までは、わずか数分しかかからない。
海や熱海城の建つ崖を眺めていると、すぐに速度が落ち、来宮に停車した。
来宮を過ぎると、列車はトンネルに入る。
トンネルのひとつは、まだ終わらないのかと思うほど長い。
トンネルを抜けると、連なる山並み、斜面に沿って建つ家々、そして奥に広がる海が見える。
起伏に富んだ地形が、窓に流れていく。
やや高台の駅・伊豆多賀に停車する。
特急踊り子と列車交換してから、発車する。
列車は、網代、宇佐美と停車していく。
伊豆多賀〜網代間では、より海岸線に近い高台を走っていく。
建物も海も、遮るものがなくよく見える。
網代〜宇佐美では、トンネルを通ったり海岸から離れたりする。
その代わり、リゾート地や温泉地だけではない、暮らす場所としての伊豆を見ることができる。
宇佐美を出てしばらくすると、海岸が近づく。
海沿いの道路には、ヤシの木が並んでいる。
南国らしさが感じられる。
ヤシの木の向こうに、サンハトヤやマリンタウンといった娯楽施設が建ち並ぶ。
楽しげな雰囲気のエリアを過ぎてすぐ、伊東に着く。
伊東の駅前には、ちょうちんで作った「伊東温泉へようこそ」の看板が立つ。
その先には、古くからの店が並ぶ商店街が続く。
こぢんまりとしているが、それなりに賑わっている。
オレンジビーチという海岸には、徒歩わずか5分で行ける。
青々とした海の先に、建物が並ぶ三浦半島と、その奥で山並みを描く房総半島が見える。
また、森が茂る初島を見ることができる。
気軽に海を眺めることができる。
伊東線は、トンネルが多い一方で海の絶景も楽しめる、リゾート感溢れる路線だ。
2025年1月乗車