大阪府南部の貝塚市で4月の土日、ローカル線を盛り上げるイベント『ロカ鉄まつり2025』が行われた。
プロデュースしているのは、人気交通系Youtuberの西園寺だ。
2022年の第1回、2023年の第2回に次ぐ、3度目の開催となる。
前回よりもゲストが豪華で、企画も増えた印象を受ける。
1年半で、西園寺チャンネルがいかに成長したかが伺える。
私は今回、2日目(日)に訪れた。
イベントは土日とも、朝から始まった。
「特急西園寺号」(1日目は「特急ひろき号」
、2日目は「特急ZAKI号」も走る)の運行だ。
水間鉄道の車両を貸切って「特急」として走らせ、Youtuberが車掌を勤める。
乗車には、事前予約が必要となる。
乗れなかった人も、外から車掌となったYoutuberを確認でき、皆大興奮だった。
水間公園では、野外ステージが特設され、多くの出店が並ぶ。
出店は、飲食物のブース、地元企業のブース、鉄道会社物販のコーナーなどがある。
中でも人気なのは、西園寺・ZAKIグッズの物販だ。
ほとんど途切れなく、長蛇の列ができていた。
2日目だったためか、半分以上のグッズが売り切れていた。
その他、ゲストの交通系Youtuber・ひろきの公式グッズを買う列もできていた。
私はいずれの列にも並び、西園寺アイコンのポーチ、ひろきのイラストキーホルダーを購入した。
また、ひろき本人には「いつも観てます」と(喜びでどもりながら)伝えることができた。
水間公園では1日を通して、ステージイベントが行われた。
12時半から、西園寺の相棒YoutuberであるZAKI司会のもと、オープニングが始まった。
「特急西園寺号」運行の関係でまだ西園寺が来ていないのをいいことに、彼は「西園寺にドッキリを仕掛けましょう」と提案する。
概要を説明し、一部の観客に必要なものを渡し、西園寺の到着を待つ。
「皆さんこんにちは~!」
西園寺が登場し、大きな拍手が起こる。
「水間公園はものすごい坂ですね!EF65の気持ちが分かりました!」
電気機関車の例えに笑いが起きる。
「見事に雲ひとつしかない空ですね……」
お決まりのフレーズで進行する西園寺を、ZAKIが「ちょっと待った!」と遮る。
「皆さん、せ~の!」
彼の掛け声で、一部の観客がクラッカーを鳴らした。
「えっ?」となる西園寺に、ZAKIと観客が大声で告げる。
「西園寺さん、登録者70万人おめでと~う!」
祝辞を言われた西園寺は、おろおろしつつも笑顔を浮かべて答える。
「いや〜嬉しい!目から汗が……出ない……」
「クラッカーの匂いっていいな。この匂いのファブリーズ出ないかな」
彼が感想を述べる度に、笑いが起きる。
オープニングだけでも、Youtubeを観ている人にとっては歓喜のやり取りだった。
13時半からは、ZAKIによる貨物列車のセミナーが行われた。
彼は幼い頃から貨物列車が大好きだが、「マニアックだからYoutubeで取り上げられない」とのこと。
「おもしろ貨物」として、「超高速の貨物」「ゴミを運ぶ貨物」「遅れたら3000万の貨物」の3つを取り上げていた。
「超高速の貨物は、東京大阪間を走ってます。でも深夜だから、誰も知りません。そして、新快速と同じ時速130キロで走ります。速いでしょう?」
「ゴミを運ぶ貨物は、川崎市を走ってます。川崎市の北部で1990年代、人口が増えてゴミが処理しきれなくなって。どうしようってなって、南部の焼却炉に運ぶために、この貨物ができました。だからゴミ列車なんですね、言い方悪いけど」
「遅れたら3000万の貨物は、40年前に走ってた、鮮魚を運ぶ貨物です。もし遅れて鮮魚が腐ったら、損失は3000万になります。ですので、どんなに列車が遅れてる状況でも、この貨物だけは優先的に通していたそうです」
この他、めったに見られないレア貨物についても語っていた。
最後に、貴重な体験談を聞かせてくれた。
「子供の頃、四日市で貨物を見てたら、運転手が降りてきて。真っ直ぐこっちに向かって来るんです。何か怒られるのかと思ったら『貨物好きなの?イベントで貨物グッズが余ったから、送ってあげようか?』って提案されて。」
「一緒にいた母親にも話を聞いてもらって、住所を教えたんです。そしたら1週間後、段ボールが届いて、中には大量の貨物グッズがあって。今も実家のクローゼットに保管してます。」
あまり知られていない貨物列車の雑学が分かる、引き込まれる話だった。
15時からは、鉄道オタクのクイズ王を決めるイベントが行われた。(この時間のみ撮影禁止)
対決したのは、西園寺、ZAKI、ひろき、そして『SUPER ★DRAGON』の伊藤壮吾だ。
問題は、フリップ問題と早押し問題の2種類があった。
フリップ問題は、「水間鉄道の10駅を書け」「今走っているJR特急を書け」といった、限られた時間にいかに思い出して読める字で書けるかを競う問題が多かった。
4人とも接戦だ。
Youtuber3人はもちろん、アイドルである伊藤も健闘していて驚いた。
最後の早押し問題は、「水間鉄道の開業年は?」だ。
西園寺が早押しし、「1925年12月24日!百周年、おめでとうございます!」と、ばっちり決める。
今回のクイズ王に輝いたのは、西園寺だった。
優勝景品として、「ロカ鉄」オリジナルの「ティッシュ1年分」が贈られ、笑いが起こる。
「よかったです。僕花粉症なので、1ヶ月くらいで使いきるかと」
「伊藤君に勝たせろよ」とZAKIにツッコミを入れられつつ、クイズは終了した。
「ずっと見ていたい」と思うほど、4人の対戦が面白いクイズだった。
最後のイベントとして16時から、「全員強制参加!鉄道◯×クイズ」が行われた。
最後まで勝ち残った10人には豪華商品が与えられる、鉄道のカルトクイズだ。
「N700SのSは、スーパーを意味する」(答え:×。スプリームのS)といった簡単な問題から始まり、「東海道新幹線を縦にすると、東京タワーより高い」(答え:〇。約400メートル)といった難しい問題が増えていく。
しかし、観客の鉄道知識の偏差値が高いためか、なかなか人数が絞られない。
そこで、西園寺クイズが出題される。
「僕は今日、朝食・昼食いずれも取っていない。◯か×か?」
途端に観客がざわつき、ほぼ半分に分かれていく。
正解は◯だ。西園寺のエネルギッシュさにどよめきが起こった。
この他「ZAKIが今履いている新しい靴は5万円である」(答え:×。3万円台)といった問題で、半分ほどが脱落していく。
その後も鉄道のクイズが続き、ある程度参加者の人数が絞られたところでじゃんけん大会となった。
9人が残ったところで、クイズが終わる。
勝ち残って楽しく、脱落してもまた楽しいクイズ大会だった。
水間公園では、物販や飲食物など、多くの出店が賑わっていた。
出店に並ぶ動機は、鉄道グッズを入手したりグルメを楽しんだりするだけではない。
一定購入額以上で引き換えられるトレカも、動機のひとつだ。
トレカはくじ形式で、袋を開けるまで分からない。
前回と異なり、たわしカード(たわしは、西園寺の動画『矛VS盾』でキーとなったアイテム)を引く確率が高かった。
これがますます「もっと買ってトレカを引くぞ」という気持ちにさせる。
私は5回引き、3枚がたわしだった。
しかし後半の2回で、「特急ひろき号」(サイン入りのキラカード)、「特急西園寺号」を引くことができた。
2人のカードは言うまでもなく魅力的だが、たわしカードもまたシュールな面白さに溢れている。
『ロカ鉄まつり2025』は、臨時特急、Youtuberグッズ、ステージイベント、そしてトレカと、様々な形で鉄道を楽しめるイベントだった。
次回はいつになるか不明だが、また行きたい気持ちは既に固まっている。
2025年4月イベント参加