滋賀県の琵琶湖沿いには、JRの路線が張り巡らされている。
大まかに、湖の西側を走るのが湖西線、東側を走るのが琵琶湖線だ。
湖西線の比叡山坂本エリアと琵琶湖線の石山エリアは、京阪によって繋がっている。
石山坂本線だ。
石山坂本線は、大津から石山寺方面を結ぶ石山線と、大津から比叡山方面を結ぶ坂本線を直通させてできた路線だ。
起点・終点共に、寺院を中心に発展した門前町だ。
1927年に開通した。
全21駅で、所要時間は約35分。
今回は、坂本比叡山口から石山寺方面の電車に乗った。
車両は、京阪と同じ緑色と黄緑色のツートンカラーだ。
しかし本線と異なり、2両編成となっている。
また小回りが効くように、本線より小ぶりな設計となっている。
坂本比叡山口駅は、歴史上有名な寺院・比叡山延暦寺の麓にある。
JRの比叡山坂本(駅名がややこしい……)からは、徒歩約20分ほどで着く。
駅には、レールを使ったモニュメントがある。
列車に乗り込み出発すると、先の見えない下り坂が現れた。
かなりの急勾配だ。
山の麓の駅とは分かっていたが、ここまで標高が高いとは思っていなかった。
列車は、アップダウンを繰り返しながら、標高の低い地域に向かっていく。
小さな車両ながら、力強い走りを見せる。
穴太を出ると、市街地の中を一気に下っていく。
まるで、巨大な滑り台を滑っているかのようだ。
左手の琵琶湖が、どんどん近付くのが分かる。
平地になったところで、滋賀里に停車する。
一旦平地になったが、またも下り坂に差し掛かる。
何やら、高架が横切っているのが見える。
JR湖西線の高架だ。
高架の下に、京阪の相対式ホームがある。
昼なのに暗く、天井が低い。
JRを潜るというより、圧迫されているように見える。
列車は短い下り坂を経て、大津の市街地に入る。
市街地に入ってからは、平地を走っていく。
建物と建物の間を、縫うように抜けていく。
三井寺を出ると、バラストのない併用軌道区間に入っていく。
車道の中央を、ゆっくりと走る。
沿道には、古い商店が建ち並ぶ。
交差点では、運転士が信号に合わせてブレーキをかける。
大きな造りのびわ湖浜大津駅は、もう目の前だ。
列車は慎重に進んでいき、ホームに入線する。
京都方面へと伸びる、京津線に乗り換えることができる。
列車は再び、専用軌道に入っていく。
住宅が並ぶ中を、カーブしながら進む。
JR琵琶湖線の膳所と乗り換えできる京阪膳所(ぜぜ)では、ホームの高さの違いに目が釘付けになる。
さらに先には、JRの石山との連絡駅である京阪石山がある。
JRを高架橋で跨ぎ、90度近いカーブを描いて、ホームへ滑り込んでいく。
停車してJRのホームを見ると、長さが大きく違うことに気づく。
石山坂本線が2両しかなく、JRはその6倍なので、ホームの規模が異なっている。
京阪石山を出ると、賑やかな商店街に差し掛かる。
ゆっくり走るので町並みがよく見えて、人びとの暮らしが感じられる。
石山の中心部を過ぎると、列車は久々の下り坂に差し掛かる。
比叡山側の勾配と比べると、大した坂には見えない。
終点の石山寺は、紫色で統一されている。
駅名にもなっている石山寺までは、徒歩10分ほどで到着する。
駅を出ると、宅地の中を流れる瀬田川が目に留まる。
瀬田川は、琵琶湖と繋がった川だ。
穏やかな流れが周りと調和していて、美しい。
京阪石山坂本線は、小さいながらも力強い車両が門前町同士を結ぶ路線だ。
2025年7月乗車