マルーン色の車両が、大阪の中心部と京都の繁華街を高速で結ぶ 阪急京都線

大阪~京都の移動手段で、最も安いのは阪急

大阪と京都を結ぶ路線には、JR、阪急、京阪の3路線がある。

JRでは新快速という、約30分で行ける速い列車が走っている。

京阪は約50分かかるが、座席がふかふかのプレミアムカーと、伏見稲荷や祇園などの観光地への近さがウリだ。

残る阪急は、約40分で行けて3路線の中で最も運賃が安いことが特長だ。

私はJRと京阪には乗ったことがあるが、阪急はまだない。

今回、大阪梅田〜京都河原町間に乗ってみた。

古い車両も新しい車両も、マルーン一色

阪急は何といっても、新旧問わず車両がマルーンで統一されていることで有名だ。

高級感と落ち着きをもたらす色合いだ。

色合いが統一されているため、よほどのマニアでない限り、一目で「何系」かを当てるのは難しい。

また、古い車両でも錆や汚れは見られず、鏡のようにピカピカだ。

他の路線よりも、車両の綺麗さにこだわっていることが分かる。

淀川を渡り三線で入線する十三(じゅうそう)

大阪梅田は、広々とした頭端式のホームだ。

東京ではこのような駅はほとんどないので、見とれてしまう。

発車すると、列車はビル街を走っていく。

左手を見ると、宝塚線と神戸線も並んで走っていることに気付く。

阪急の3線は、それぞれ同時刻に大阪梅田を発車することが多い。

すぐに、淀川を渡っていく。

宝塚線と神戸線はトラス橋だが、京都線は違って見晴らしがいい。

広い川を渡り、他の2路線にしかない駅・中津を通過する。

十三に到着する。

マルーンの車両3編成が同時にホームに入る光景は、なかなかの迫力だ。

3路線の快速が停まる駅であるため利用者が多く、繁華街が広がっている。

高架がそびえる淡路

十三を出ると、京都線単独になる。

宅地エリアに入っていく。

現在地上駅だが、高架化工事の真っ最中の駅もある。

淡路に到着する。

右手に、何やら大きな高架が建っている。

これも高架化事業のひとつで、将来的に淡路駅はこちらに移設される予定だ。

何年かしたら、十三〜淡路は様変わりしていそうだ。

ちなみに駅名は、この地域が中洲だった平安時代、菅原道真がやって来て淡路島と間違えたエピソードに由来している。

緑豊かになる高槻市

列車は、郊外を走っていく。

遥か先まで見渡せる直線が続くJR、カーブの多い京阪と比べると、阪急は直線に時折カーブが混ざる印象だ。

速度が速く、すれ違う列車が多いことから、利用者の多さがうかがえる。

茨木市、高槻市に停まり進んでいくと、緑の面積が増えていく。

安満(あま)遺跡公園という広い自然公園や、若山というハイキングできそうな山が見える。

新幹線と並走する上牧(かんまき)~大山崎

高槻市を過ぎて次の上牧を通過するまでの間、右手に東海道新幹線の線路が合流してくる。

車内から、走っていく新幹線を眺めることができる。

この区間の駅ホームから新幹線を見るのも楽しそうだ。

並走する光景は、東海道新幹線が開通した頃からある。

東海道新幹線の工事に伴い、高架化と新幹線との並走が進められ、このような光景が見られるようになった。

工事の際は一時的に、阪急が新幹線のレールを走ったこともあった。

京都らしい家々が並ぶ桂

大山崎を過ぎると、新幹線は東に離れていき、一瞬だけJR京都線と並走する。

偶然にも、特急しらさぎを見ることができた。

京都府に入り長岡天神に停まり、庶民的な町を抜けていく。

沿線は再び、宅地が増えていく。

進むにつれ、鰻の寝床のような、間口が狭く奥行きのある家屋が増えてくる。

表屋造りと呼ばれる、京町屋の伝統的な構造だ。

桂に停まる。

地上に情緒溢れる町並みが広がる終点・京都河原町

列車は桂川を渡ってしばらくして、地下に潜っていく。

京阪と同様、京都の中心部に入ると地下駅となる。

終点・京都河原町に到着する。

(高瀬川)

地上に出ると、京都の繁華街が広がる。

(先斗町)

四条河原町の大通り、もみじが並ぶ高瀬川、細い路地に高級料亭がひしめく先斗町など、どの方向に歩いても京都の趣きを感じられる。

(鴨川)

さらに四条大橋を渡れば、すぐ京阪に乗り換えられる。

乗り換えの度に鴨川を眺められると考えると、通勤で両駅を使う人が羨ましくなる。

まとめ

阪急京都線は、大阪の中心部から京都の繁華街まで、品のいいマルーンの車両が高速で走る路線だ。

三度に渡り、JR、京阪、阪急と、似たエリアを走る3路線をそれぞれ知ることができた。

大阪と京都の両方を巡る旅の際には、目的地や状況により3路線を使い分けたいと思う。

2025年4月乗車