富士山と工場街。どちらもカメラマンが被写体とするほど、人気を集める場所だ。

そんな富士山と工場街を同時に間近で眺められる私鉄が、岳南電車だ。
JR東海道線の吉原と岳南江尾を結ぶ、片道約20分の路線だ。

東京からは、東海道新幹線で三島まで行き、JR東海道線で5駅進むと吉原に着く。
なお私は今回、約5年振り・2度目の乗車となる。
吉原に着くと、岳南電車の駅に直結する改札へ向かう。ICカードは使えないので、切符を購入する必要がある。

私は今回、窓口で『全線1日フリー乗車券』を購入した。この乗車券はポストカードサイズで、首から下げるケースも付いてくる。車両、工場街、富士山が、モノクロのシルエットで描かれている。
それだけでなく、白い部分は特殊な塗料が塗られ、暗い所で光を放つようになっている。
いつまでも取っておきたくなる乗車券だ。

吉原からは、2両でオレンジ色に塗装された車両に乗る。
かつて京王井の頭線で走っていた車両だ。

電車は「岳南電車では、各駅に富士山ビュースポットを設けております。そこからの撮影は、いかがでしょうか」というアナウンスと共に、吉原を出発する。

高速で走り去る東海道線を横目に、電車はゆっくりと進んでいく。

カーブして東海道線と離れ、運河と工場のエリアに入っていく。

やがて行く手には、雄大な富士山が聳えるようになる。

沿線には、様々な形の工場が並ぶ。

吉原本町は、沿線では数少ない有人駅だ。

下車して踏切を越えると、吉原商店街が見えてくる。
旧東海道の吉原宿として、昔から発展した地域だ。

なお、この駅の富士山ビュースポットに立つと、家屋の屋根越しの富士山を見ることができる。
商店街から戻ってきて、再び電車に乗る。

今度は1両の、緑色に塗装された車両がやって来た。
キャンペーンのPRのため、コスモスのイラストが前面と窓に施されている。

次の本吉原は、駅の目の前に製紙工場がある。
タンクとパイプでできた建物もあれば、蔦が絡まった四角い建物もあり、重厚な佇まいだ。

この辺りから岳南富士岡まで、工場が密集している。
岳南原田で、列車交換を行う。

ホー厶の屋根を支える柱は、無骨なデザインだ。

駅の先には、シートに覆われた煙突、赤い巨大な煙突、白くて鉄骨に囲まれた煙突が見える。
タンクやパイプも工場の建物を構成している。
いずれも製紙工場だ。

カーブしながら、錆びたタンクが目の前に見えてくる。

頭上を太いパイプが横切り、パイプを支える複雑な鉄骨が線路の左右に立つ。

パイプを潜り抜けた先でも、複雑な配線が建物を覆う光景を見ることができる。
工場の中を走っているような迫力に溢れた区間だ。

岳南富士岡には車両の倉庫がある。
また、昔活躍した機関車が展示されている。
岳南電車の歴史を感じられる駅だ。

この駅を過ぎると工場が減り、住宅が増えてくる。
岳南電車は工場街の路線のイメージがあるが、実際には生活感のある場所も走る。

交差する高架を、新幹線が通過していく。

終点の岳南江尾は、高架を潜ってすぐだ。

オレンジ色で全面に塗装された車両が、向かいのホー厶に停まっている。
これは5年前(2021年)に訪れた際と変わっていない。

車止めの横には花壇が設けられ、地元の人が水を撒いていた。色とりどりでホッとする一画だ。

なお、この駅の富士山ビュースポットに立つと、新幹線の高架から頭を出した富士山を見ることができる。

岳南電車は、富士山と工場街を近くで見ることができ、また生活感もある路線だ。

前回訪れた2021年はコロナ禍で人が少なかったが、今回は国内外の観光客がそれなりに乗っていて、嬉しく思った。
2026年4月乗車