西武のメイン路線であり、池袋とベッドタウンを結ぶ、池袋線。
池袋〜吾野は池袋線、吾野〜西武秩父は秩父線となっている。
特急を除き、池袋から直通する列車は全て飯能止まりだ。
その理由は、飯能のホームの構造にある。
JR東飯能と乗り換えができるようにルートを組んだ影響で、ホームが折り返し構造になっている。
とある土日、池袋から西武秩父まで乗ってみた。
池袋から飯能までは、最新鋭の8両の車両に乗った。
飯能に到着すると、向かいに西武秩父行きの電車が停まっている。
古めかしい4両の車両だ。
同じ路線とは思えない光景だ。
飯能〜西武秩父間のみで走っている車両は、4000系という。
昭和末期に造られた車両で、白い塗装に3色のラインが引かれている。
方向幕は黒地に白文字で、レトロな雰囲気だ。
車内はふかふかのボックス席で、旅情を感じられる。
列車は、複線の池袋方面と分かれ、単線の線路を走っていく。
本数が少ないため、車内は朝ラッシュかと思うほど混雑していた。
東飯能はJRの乗り換え駅のため、さらに人が乗ってくる。
皆秩父まで向かうのかと思っていると、髙麗で半分以上の客が降りた。
髙麗は、日和田山の登山口の最寄り駅だ。
登山をする人が多く乗っていたことに驚いた。
車内がすっかり空いたため、前面展望できる所に移動した。
列車は森の中を走っていく。
武蔵横手に停まる。
小さな駅舎で、どことなく味がある。
その後、さらに山深い地域に入っていく。
途中の駅では、列車交換を行った。
銀色に輝く曲線的な特急Laviewが、秩父からやって来て、通過していく。
吾野に到着するが、特に長く停車せず、すぐに発車する。
池袋線の終点はこの駅だが、それが分かる表示はない。
地味な境目の駅だ。
列車は、正丸に着く。
ホームには、ハイキングコースの看板が立っている。
正丸を発車すると、トンネルに入る。
トンネルの出口が見えないほど、長い。
よく見ると、上り勾配があるのが分かる。
上りきってから下り坂に変わり、小さなトンネルの出口が見えてきた。
ハイキングコースの案内と、長大トンネル。
山の中を走っていることを実感した。
西武秩父の一駅前・横瀬辺りからは、開けた土地を走る。
町並みも見えてくる。
西武秩父駅に到着する手前、別の線路が並走するのが見える。
秩父鉄道の線路だ。
休日は蒸気機関車が走ることがあり、時間によっては西武秩父のホームから眺めることもできる。
蒸気機関車は、遠くまで響く汽笛や、煙突からもくもくと立ち込める煙など、見るだけでも圧倒される。
駅を出ると、フードコートや温泉のある商業施設「祭の湯」があり、ロータリーの先には温泉街らしい町並みが広がる。
西武池袋線・秩父線の飯能〜西武秩父間は、緑豊かな山並みを走り、温泉街につながる区間だ。
大都会や郊外エリアの先に伸びているとは思えない、非日常を味わえる区間といえる。
2025年9月乗車